@phdthesis{oai:toyama.repo.nii.ac.jp:00005215, author = {中島, 栄次}, month = {Mar}, note = {【本研究の総括】 2層の階段状濃度分布に水平方向からの加熱冷却を加えた場合の二重拡散対流の把握は,海洋学,冶金学,熱工学など様々な分野において有用となるため,これまで数多くの研究が行われてきた. しかし今だ未解明な部分は多く,特に2層間の物質移動機構に関する理解は十分得られていない. 本研究では炭酸ナトリウム水溶液を対象とした2層系二重拡散対流について層間物質移動機構を中心とした諸現象について把握すべく,実験的および数値的な検討を行った. まず4 章においてはYamane らの報告を参照して2層系二重拡散対流の実験的研究の概要を説明した. それをまとめると以下のような結論が得られる. まず感温液晶およびポリスチレン粒子を用いた温度場,流れ場の可視化実験を行った. その結果,実験開始後上下層聞には鮮明な境界面が形成され,上下各層において対流セルが発生し,長い擬定常状態を経て,境界面が不安定となりやがて崩壊に至る過程が観察された. また層境界面崩壊時間t_mは条件によって大きく異なるが,初期浮力比N_0によって相関できる事が分かった. 溶液注出法による各層の中心濃度測定実験により,擬定常状態の問上下層間濃度差Δcは一定勾配を保ちながら直線的に減少する事が分かった. またΔcの時間変化から上下層間物質移動流束jを算出した結果,擬定常状態の間jはほぼ一定値を保ち続け,層境界面が不安定になる頃jは急激に増加する傾向が見られた. さらにレーザーホログラフィーによる系内の屈折率分布の可視化実験および干渉縞の定量化を行った. ここで屈折率は温度と濃度の両方により変化するため,層境界面や壁面近傍のように温度勾配と濃度勾配が同時に存在する部分においてはこれを直接密度場として扱うことはできないが,定性的解析においては上下層内の屈折率分布をほぼ密度分布として扱う事ができる. その結果,上下層内の密度分布は一定勾配を保ちつつ安定に成層しており,密度分布が連続的になる頃に境界面が崩壊に至る事が分かった. これら実験的研究により2層系二重拡散対流の大局的な性質について把握はできたといえる. しかし,2層間の物質移動機構について十分な解明には至らなかった. これには濃度場の詳細な変化を捉える必要があると考えられたため,本研究では数値計算による理論的解析から2層間の物質移動機構の解明を行うことにした. 第5章においては,まず数値的検討を行うに先立ち,数値計算の妥当性を検討すべく,実験結果との比較検討を行った. その結果,流れ場,温度場の推移において定性的一致が得られた. また各条件における層境界面崩壊時間についても良好に一致した. 2層間の物質移動についても,Δcの時間変化ならびに物質移動流束jの時間変化において定量的一致が得られた. さらにレーザーホログラフィーによる干渉縞の可視化実験結果と計算結果の比較より,屈折率場および密度場においても定性的,定量的一致が得られた. これらの結果より本数値解析プログラムの信頼性が確認された. つづいて第6章において数値解析による2層聞の物質移動機構について検討した. まずΔcの時間変化において,変化の傾向が異なる部分を区分けする事により,一連の現象は,期間A(セル対流形成期),期間B(擬定常状態期),期間c(境界面不安定期)の3つに分けられ,それぞれの期間において特徴的な物質移動機構を持つ事が分かった. また各期間の持続時間を比較したところ,期間Bにおける物質移動が現象を大きく左右する事が分かった. そこで期間Bにおける物質移動は拡散が支配的であるとした近似モデルを仮定し境界面を通した物質移動について検討した. その結果境界面における濃度境界層厚され時間的に変化しており,境界面における濃度勾配Δc/δが一定に保たれることで,jもまたほぼ一定に保たれることが判明した. 初期条件が物質移動に及ぼす影響について検討したところ,δの初期値が浮力比によって決定される事により,Δc_0が一定の場合ΔTの増加に伴いΔc/δが大きくなるのに対し,ΔT一定の場合においてΔc_0が増加してもΔc/δは変化しない事により,jは初期濃度差Δc_0には依存せず,ΔTに依存する事が分かった. また条件に依らず,δの変化においてある浮力比の範囲内で不変となる領域が存在し,期間Bのjに若干の時間的変化をもたらす事が分かった. さらに計算結果より各条件で期間Bにおける擬拡散係数Dを算出したところ,実際の炭酸ナトリウムの分子拡散係数Dの値と非常に近い値が得られた. 拡散以外の層間物質移動機構の一つとしては境界面近傍の温度不安定に起因した濃度プルームが考えられ,同じ初期浮力比条件においてもΔTの増加に伴い,プルームの発生規模が大きくなる様子が数値解析により観察された. 期間Bにおけるシャーウッド数Shを算出した結果,Shは温度レイリー数Ra_Tと共に増加し,両対数グラフ上で両者は直線関係にあった. 各条件における浮力比の時間変化からは,期間Bから期間Cに移行する時間t_において,条件に依らずN_=0.6となることが分かった. また実験結果と同じく数値計算結果においてもすべての条件で層境界面崩壊時における臨界浮力比N_mはある一定値を取り,その値は約0.36であった. 本研究により,2層系二重拡散対流における諸現象の理解は深まった. 特に2層間の物質移動機構についてはほぼ解明でき,数値解析によりその理論的根拠も得られたと言える. また本論文で用いた数値解析プログラムは現象を忠実に再現できるものとして,今後様々な系(例えば気体系あるいは凝固を伴う場合など)に対する解析にも拡張が可能である. さらに本研究で得られた結論は,冒頭で述べたような多成分系の凝固を伴う材料製造技術のみならず,昨今の環境問題に対応し,拡散を利用した分離技術やエネルギー工学に関連した蓄熱技術などにおいて応用可能であり,それらシステムの高効率化やプロセス制御の面において大いに役立つものと考える., Article, 富山大学・博士(工学)・甲第64号・中島栄次・2000/3/31}, school = {富山大学}, title = {水平温度勾配による2層系二重拡散対流の解析}, year = {2000} }