@article{oai:toyama.repo.nii.ac.jp:00002996, author = {池田, 真行 and 守屋, 孝洋 and 程, 肇}, issue = {12}, journal = {日本生理学雑誌}, month = {Dec}, note = {application/pdf, サーカディアン(Circadian)リズムとは 1959 年に Halberg によって提唱されたことばで、circa「約」dies「一日」というラテン語に由来している。日本語では概日リズムという。多くの生命現象において観察される昼夜差のことを指して用いられる場合もあるが、狭義には環境からの時間の手がかりを遮蔽した後にも持続する内因性リズムのことを意味する。内因性リズムとは、いわば体内時計の出力である。生物種によってその周期が 24 時間より若干長かったり短かったりすることから、サーカディアンリズムといわれるのである。こうしたサーカディアンリズム研究は、「ありのまま」の生命現象を解き明かすことを目的とした生理学の典型的な対象である。 ほとんどの生物の行動(例えば睡眠覚醒サイクル)や内的生理現象(体温、ホルモン分泌、神経活動)には、概日リズムが存在する。実際、現代の人々は、海外渡航に際し、時差ぼけという体調不良を体験することで、概日リズムの存在をいやでも知ることになる。 時差ぼけの主な身体症状は睡眠と消化器系の失調として体感されることが多い。現在、概日リズムの発生機構には三つの部分より構成される仮想的なモデルが提示されている。つまり、外界の変化を補正要因として取り込む入力系、時計本体、及び内分泌や行動を制御する出力系である(概日時計の三要素)。哺乳類の時計中枢は、視床下部にある視交叉上核(SCN)に存在すると考えられている。SCN を破壊すると、活動、体温、脳内電気活動、血中ホルモンであるメラトニンやコルチコステロン等のリズムがすべて消失する。SCN 破壊により消失したリズムも、別の個体の SCN を移植することにより回復することが知られている。こうしたことから、SCN が概日時計機構に欠くことのできない神経核であることがよく理解できる。SCN が周囲の光サイクルに同調するためには、網膜から SCN へ達する神経連絡が必要である。実際、ラットでこの経路を遮断すると行動などの概日リズムは光に対する反応性を失う。こうした時計への入力経路が比較的良く理解されているのに対して、SCN からの出力機構は今なお不明な点が多い。これまでに、液性出力や神経連絡(電気的な)出力の両方が存在すると推定されている。最近では、SCN 以外の幾つかの脳部位(例えば線条体)や、あるいは末梢の組織(例えば肝臓)にも弱い概日振動体が存在し、SCN は最高位の中枢としてこれら複数の時計を統合制御していることもわかってきている。こうしたことから体内時計システムの総合的な理解には、生命科学に対する広範囲な知識と、多種多様な解析法を用いることが必要になってきている。 この Lecture では、そうしたサーカディアンリズムの解析法の一部を入門者向けに概説することを心がけた。なお、行動リズム・神経発火リズム・神経細胞内カルシウム濃度リズムについては池田が、固定脳標本の時計遺伝子発現リズムについては守屋が、ルシフェラーゼレポーターを用いた living cell の時計遺伝子発現リズムについては程が担当した。 これからサーカディアンリズム研究を行なおうとする若手研究者の一助となれば幸いである。, Article, 日本生理学雑誌}, pages = {377--386}, title = {サーカディアンリズムの解析法 固体行動、神経活動から分子リズムに至るまで}, volume = {67}, year = {2005} }