@article{oai:toyama.repo.nii.ac.jp:00000277, author = {中島, 淑恵}, journal = {富山大学人文学部紀要}, month = {Aug}, note = {筆者は先の論考において,ルネ・ヴィヴィアンとエレーヌ・ド・ジュイレン・ド・ニーヴェルトの共同の筆名であるポール・リヴェルスダールの名で1904年に発表された小説『二重の存在』には,ラフカディオ・ハーンが1902年に発表した『骨董』の影響が深く刻印されていることを指摘してきた。その際に主に取り上げたのは,第6 章「蛍と娘 « Lucioles et mousmés »」における「蛍」をめぐる記述とそこに採用されている俳諧についてであったが,今回分析を試みる第9章「風を食む者 « Les Mangeurs de Vent »」においても,同じ影響関係を明らかに指摘することができる。この章についても,最初にその記述を目にしたときには,それら「餓鬼」をめぐる記述が一体どこに由来するのか皆目見当がつかず,「餓鬼」の記述の典拠であると思われる『正法念処経』との同定作業まで進みながら,そこから先は全く見通しが立たなかった。 しかし,第6章「蛍と娘」の記述が,出典としてその名は示されていないにも関わらず明らかにラフカディオ・ハーンの『骨董』に収められた「蛍」というエッセイからの抜粋であることが判明したことによって,「餓鬼」の記述も同じく『骨董』の「餓鬼」に由来することが明らかになった。ここでは,まず『二重の存在』第9章の本文における「餓鬼」の記述について分析を行ない,それをラフカディオ・ハーンの『骨董』における「餓鬼」のそれと比較して検討することにしたい。 『二重の存在』は,物語の進行にしたがって季節も移ろうように構成されており,第9章は酷暑のロンドンが舞台となっている。今にも道を踏み外さんとしている女主人公ナターシャ・スミルノフに対して,相談相手である物語の狂言回し,アメリカ出身の女流詩人であるヴィヴィアン・リンゼイが道ならぬ恋を戒めようと譬え話を切り出す場面である。物語の進行上は,宙吊りになったかのように場面が静止している章なのであるが,この章でヴィヴィアンが語ることは,ナターシャがこれから陥る状況を先取りして物語っているものともいえる。例によって長いエピグラフから始まるこの章の,まずはその内容から確認しておくことにしたい。, Article, 富山大学人文学部紀要, 59号, Page 135-150}, pages = {135--150}, title = {ルネ・ヴィヴィアンとラフカディオ・ハーン(2) : ポール・リヴェルスダール『二重の存在』における「餓鬼」の記述をめぐって}, volume = {59}, year = {2013} }