@article{oai:toyama.repo.nii.ac.jp:00016430, author = {増田, 友樹}, issue = {1}, journal = {富山大学紀要.富大経済論集}, month = {Jul}, note = {本稿は,ドイツの倒産申立義務違反にもとづく取締役の責任を検討するものである。 これまでにも,わが国において,ドイツの倒産申立義務に関連するいくつかの研究が公表されてきた。それにもかかわらず,本稿であらためてそのことを検討する理由は,次のとおりである。すなわち,筆者は,「従来の研究において倒産手続の早期申立てを促すものとして考えられてきたドイツの倒産申立義務も,同義務に違反した場合の取締役の責任の具体的な内容をみれば,そのような効果を発揮しているのかは疑わしい」と考えているからである。 実際に,ドイツの連邦統計庁が公表している統計年報(Statistisches Jahrbuch)によれば,2016 年の有限会社(GmbH)の倒産申立て10440 件のうち,約35%に当たる3688 件は,財団不足のため手続費用すら捻出できずに却下されている。また,同庁から公表されている別の資料(企業と職場(Unternehmen und Arbeitsstätten))によれば,2011 年に開始されて2015 年末までに終結した有限会社の倒産手続において,無担保債権者に対する配当割合は,平均5.4%である。これらのデータからすれば,ドイツの倒産申立義務および同義務に違反した場合の責任が取締役に倒産手続の早期申立てのインセンティブをそれほど与えていない可能性を考えてもよいだろう。 しかしながら,従来の研究,とりわけ倒産申立義務のわが国への導入を主張する論者は,後で詳しくみるように,これとは異なる認識を有しているように見受けられる。むしろ,会社法429 条(旧商法266 条ノ3)の取締役の対第三者責任による規律付けだけでは債権者の保護に欠けるという問題意識のもと,倒産申立義務によって,より早い段階での倒産手続の申立てを促すことが想定されてきた。近年もそのことを期待して,同義務をわが国に導入しようとする議論が再び行われている。このような状況からすれば,従来の研究が想定するほど,ドイツの倒産申立義務が倒産手続の早期申立てを促すような規律付けになっているのか,会社法429 条による規律付けと何がどれくらい異なるのか,を明らかにすることには意義があると思われる。 以下では,Ⅱで,わが国の従来の研究がドイツの倒産申立義務をどのように論じてきたのかを確認する。これは,本稿の問題意識の前提となるものである。次に,Ⅲで,同義務の内容を検討し,Ⅳで,本稿の問題意識に沿った形で同義務についての評価や会社法429 条の取締役の対第三者責任との比較を行う。Ⅴでは,本稿に残された課題について簡単に述べる。, Article, 富山大学紀要.富大経済論集,第64巻第1号,2018.7,pp. 1-44}, pages = {1--44}, title = {ドイツの倒産申立義務違反にもとづく取締役の責任 : 会社法429条の取締役の対第三者責任と何がどれくらい異なるのか?}, volume = {64}, year = {2018} }