@article{oai:toyama.repo.nii.ac.jp:00015781, author = {梅澤, 礼}, journal = {富山大学人文学部紀要}, month = {Feb}, note = {1810年の刑法典は,犯行時に心神喪失状態にあった者は処罰しないことを定めていた。しかしその後も,罪を犯した精神病者は犯罪者と混同され,監獄に送られつづけていた。こうして1838年,精神病者に関する法(loi sur les aliénés)が制定された。この法律は精神病者を監獄から解放するべく,入院手続きを簡略化することを表向きの目的としていた。これ以降,1人の医師の診断書と県知事の承認さえあれば,精神病者は本人の意志に関係なく入院させられることとなった。つまり,精神病者が事件を起こす前に,彼らを強制入院させることが可能となったのである。1840年代,50年代と,フランスの精神病院人口は増加していった。 とはいえ入院させられたすべての人間が,本当に精神病に罹患していたわけではなかったようである。たとえば1863年には,レオン・サンドンの事件が発覚している。サンドンは同僚の策略にはまり,いたって正常であったにもかかわらずモノマニーと診断され,精神病院に閉じ込められていたのである。この事件がきっかけとなり,1860年代後半にかけて,精神病者に関する法をめぐる論争が精神科医やジャーナリストの間で繰り広げられることとなった。 作家たちもこの論争に無関心ではなかった。1869年には,のちに『家なき子』で世界的に知られることになるエクトール・マロが,『義兄弟』という小説で強制入院の問題を取り上げている。また自然主義作家エミール・ゾラの『プラッサンの征服』(1874年)でも,登場人物の一人が精神病院へと送られている。これらの作品において,個人の狂気や精神医学の権力はどのように描かれているのか。1838年の精神病者に関する法は,一世代後の文学に何をもたらしたのか。, Article, 富山大学人文学部紀要, 68号, 2018.02.20, Page 171-180}, pages = {171--180}, title = {エクトール・マロとエミール・ゾラ : 精神病者に関する法(1838)と文学}, volume = {68}, year = {2018} }