@article{oai:toyama.repo.nii.ac.jp:00014375, author = {山下, 瑞葵}, journal = {富大比較文学}, month = {Mar}, note = {「有夫の婦人が、其の夫にあらざる男と通ずること」である「姦通」が書かれた作品に対して、近代日本の検閲は厳しかった。夏目漱石は姦通へのベクトルが書かれた作品や姦通をほのめかす作品をいくつも書いているが、一度も発売頒布禁止処分になっていない。 当時の検閲は検閲官の裁量で行われた曖昧なものであったが、漱石の場合は一度ではないので偶然ではなく意図的に検閲を避けることに成功したと思われる。漱石の作品はなぜ検閲に引っかからなかったのか、姦通という題材をどのように扱ったのか考察していく。 姦通へのベクトルが書かれた漱石作品の中でも、先行研究で姦通罪改悪との関わりが示唆されている「三四郎」、「それから」、「門」の三部作に注目する。「三四郎」から「それから」の間には検閲の厳格化があったことから、本稿では「それから」「門」を中心に論じる。そのため、まずは一九〇九年当時の検閲の状況、実際に発売頒布禁止処分とされた作品について確認する。 夏目漱石が「それから」執筆直前の「新聞紙法」公布をどう受け止めていたのか、それがどう「それから」に影響したのかを分析する。さらに漱石の「それから」と「行人」、発売頒布禁止処分となった小栗風葉の「姉の妹」を比較検討することによって、漱石がどのように検閲を避けながら姦通という題材を書いたのか考えていく。 「門」は具体的な過去の設定が明かされていないが、「それから」の続編と捉えると姦通の末に結ばれた男女を書いた作品となる。単行本「門」が発売頒布禁止にならなかった理由については先行研究があるが、本稿では初出の「門」について他の新聞記事との関わりから考察する。, Article, 富大比較文学, 第9集, 2017.03.10, page 101-120}, pages = {101--120}, title = {検閲を掻い潜る漱石 :「それから」「門」を中心に}, volume = {9}, year = {2017} }